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真・仮面ライダー 序章』(しん・かめんライダー プロローグ)は、1992年2月20日仮面ライダー誕生20周年の一作として東映ビデオより発売されたオリジナルビデオ

あらすじ編集

父の研究を手伝っていた風祭真は「財団」により、自らも知らぬ間に改造兵士(サイボーグ・ソルジャー)レベル3にされてしまう。

そしてある日、真は鬼塚義一のレベル3への変身の影響を受け、感情の高まりと共に異様なバッタ怪人の姿へと変貌して行く…。

概要 編集

仮面ライダーシリーズ20周年記念作品。20周年は前年の1991年であるが、当時のバンダイによると「昨年、ウルトラマンが25周年にあたり、重複を避けようということもあり、今年を20周年とし、営業を進めている」[1]とのこと。映像作品としての「仮面ライダー」は1989年9月に放送終了した『仮面ライダーBLACK RX』以来3年ぶりとなる。

本作の制作については、原作者である石ノ森章太郎が「真のライダーを描きたい」と語っており、ライバル作品である『ウルトラシリーズ』が1990年9月~1991年6月にビデオ作品として『ウルトラマンG』を制作したので本作も「ウルトラマンシリーズ」に対抗するためビデオ作品として制作される事となった。またどちらもテレビシリーズとしての作品は休止中であった。

グロテスクや性的な描写が含まれるなど、これまで子供向けに製作されていたシリーズとは一線を画す「大人向け特撮作品」を目指し、ヒロインが最後に死亡する等、ストーリー展開も非常にハードなものとなっている。また、これ以前の仮面ライダーは主として「改造手術」によって誕生するなど、機械的・硬質的イメージが強かったが、本作ではバイオ技術でバッタの遺伝子を注入された「改造兵士」という設定である。変身の描写も「苦痛に耐えながら額から徐々に触覚が伸びてゆく」という、『仮面ライダーアマゾン』や『仮面ライダーBLACK』以上に異形の生物的なイメージを強調したものになっている。

変身の際の恒例だった「変身!」の掛け声はなく、「ヘルメットに大きな複眼」「変身ベルト」といったスーツ的な意匠は一切廃されている。戦闘スタイルにおいても、全身の突起で敵への攻撃を行い、ライダーキック等の必殺技も持たない。また、主人公である風祭真はバイクを常用しているものの、変身後のシンがバイクを駆るシーンも無く、ヒーローとしての専用マシンすら持たない初めての仮面ライダーとなった。このように、歴代仮面ライダーの特徴の大半を有しておらず、「ライダー」と言うよりもむしろ「怪人」に近い特徴や風貌であり、後に製作される『仮面ライダーアギト』に登場する仮面ライダーギルスアナザーアギトが、シンと似通ったバイオ的な外見や特徴を持っている。また『仮面ライダー剣』に登場したローカストアンデッドもシンにプロテクターを付けたような姿をしている。

「序章」というタイトルからも判るように、当初は前述の『ウルトラマンG』のように何話かのシリーズ化を目指していた。しかし、続編が制作される事はなく、大人向けの仮面ライダーというコンセプトの映像作品は2005年公開の映画『仮面ライダー THE FIRST』まで途絶える事となる。1993年にライダー映画の公開が決まった際には続編企画も検討されたが、完全新作の製作となった為、最終的に『仮面ライダーZO』が製作されることになった。仮にシリーズ化が実現していれば、シンが仮面とスーツやバイクを手に入れて仮面ライダー(仮称・仮面ライダーガイア)となってゆく過程が、順を追って描かれるはずだった。この点の多くは石ノ森自身が書いたシノプシス『キミは仮面ライダーをみたか?』から構想を得ており、『仮面ライダーBLACK』における『主人公が怪人バッタ男から仮面ライダーへと変異していく』のと非常に似通っている。

スタッフ 編集

プロデューサーの堀長文と吉川進、監督の辻理、特技監督の矢島信男、脚本家の宮下隼一とスタッフは『RX』と同じのほか、後に平成仮面ライダーシリーズの大半をプロデュースする白倉伸一郎が初めて携わったライダー作品である。また冒頭には石ノ森章太郎が出演している。

名称について 編集

真の変身後の形態は、オープニングクレジットではタイトルの通り「真・仮面ライダー」と記載されているものの、劇中で明確には仮面ライダーと呼称されておらず、それどころか変身後の姿を指す呼称も一切登場しない。ラストにCIAが彼に「MASKED RIDER」というコードネームを与えるのみである。

公式を始めとする多くの媒体で用いられている便宜上の名前は「仮面ライダーシン」である。しかしこの名称は、『スカイライダー』こと『仮面ライダー(新)』[2]と読みが同一となって混同を招く恐れがあるため、場合によっては「改造兵士」、「改造兵士レベル3」と記述されることもある。タイトル名と劇中での名称が異なるヒーローは、映像作品では『帰ってきたウルトラマン』のウルトラマンジャックや『ザ☆ウルトラマン』のウルトラマンジョーニアスなどの例がある。仮面ライダーシリーズでも、小説などを含めば、シンの他に同様の例として『仮面ライダーEVE-MASKED RIDER GAIA-』の仮面ライダーガイアがある。

登場人物編集

主人公 編集

風祭真(かざまつり しん) / 仮面ライダーシン(改造兵士レベル3)
城南大学出身のオートバイレーサー。25歳。IQ250。500ccロードレースの日本予選で初出場初優勝を果たし、世界グランプリを目指していた。頭脳明晰にしてスポーツ万能。ISSにいる父・大門に協力して自ら被験者となっていたが、密かに鬼塚によって改造手術を施され、人間とバッタの遺伝子を融合させた「改造兵士レベル3」となっていた。
父と最愛の女性を失った一連の事件の後、ライダーベビーの生き続ける愛の遺体を抱えたまま、姿を消す。行方不明後、CIAの記録には彼をコードネームで「MASKED RIDER(仮面ライダー)」と名付けた。
この設定に関しては、「城南大学のオートバイレーサーという設定だった仮面ライダー1号/本郷猛を意識した」「演じた石川が『本郷猛と同じ設定にしてほしい』と頼んだ」等の説がある。

真の関係者 編集

結城卓也(ゆうき たくや)
スポーツクラブに勤務する青年。真のロードレーサー(2輪ライダーの総称)としての先輩でもあり、彼の良き相談相手。かつては真とともにインターナショナルAクラス500CCロードレースで、世界グランプリを目指していた。奥手である真を励まし、愛との恋愛をまとめようとする優しい青年。
風祭大門(かざまつり だいもん)
風祭真の父。臨床免疫工学の権威。氷室に騙され、「財団」のサイボーグソルジャー開発計画に加担してしまう事になる。計画において重要な人物であった為、真の子を身ごもった愛と共にニューヨークの本部に送り込まれる事になっていたが、真によって救出される。しかしその直後、財団のヘリコプターによって再度捕らわれてしまい、最後はセーラの放ったランチャーがヘリコプターに直撃し、ISS本部に落下した爆発に巻き込まれ、還らぬ人となってしまう。
明日香愛(あすか あい)
真の看護人。実は「財団」のメンバーで真の監視をしていたが次第に真に好意を寄せ始め、真と結ばれ彼の子供を身ごもった。しかし劇中で真をかばって氷室の銃弾を受ける。真に自らの身篭った真との間に出来た子供を託し、息を引き取った。
ライダーベビー
愛の身篭った子供で、改造兵士となった真の遺伝子を受け継いだミュータントでもある。一部の関連書籍では、愛が命を落とした後もなお生き続け、真に歩むべき道を指し示したと記述されている。
なお、ライダーベビーという名称は雑誌上などにおける名称である。変身した真と同じに第三の眼を表している。

財団 編集

氷室巌(ひむろ いわお)
ISSの所長。一見温和な紳士だが、その本性は冷酷無比である。「財団」の命令で大門を騙し、彼にサイボーグソルジャーの研究に加担させた。しかし、CIAの介入による数々の失敗により自分の身も破滅し、自暴自棄になって愛を射殺。最後は怒りを爆発させたシンのハイバイブネイルとスパインカッターの猛攻撃を受けて死亡した。
豪島(ごうしま) / 改造兵士レベル2
氷室の腹心。財団に敵対する者の暗殺を務める。普段は人間と違わぬ姿に装っているが、戦いの時は人工皮膚の下に隠された不気味な金属製のボディを露わにする。最後は、シンのハイバイブネイルで首を脊髄ごと抜き取られるが顔に時限爆弾があり、シンとともに爆発しようと図ったが、失敗、自分の爆弾とともに爆発する。
鬼塚義一(おにづか ぎいち) / 改造兵士レベル3
改造兵士の研究に携わる科学者。オカルト関係において狂信的な人物で密かに自らの身体を改造兵士レベル3に改造する。変身した姿は真のそれとほとんど同じだが、決定的な差異として真が額に持っている第三の眼を有していない。そのため変身後は理性を保てず、殺戮を行ってしまうこととなる。氷室に捕らわれサンプルとして護送される中、最後はCIAの爆撃によりその身を焼かれ、絶命。

CIA 編集

セーラ・深町(-ふかまち)
CIAの工作員。財団への調査を進める中で真と出会う。任務には忠実で、鬼塚を輸送するトラックへの攻撃他の非合法活動においては現場で部隊を指揮するところからその有能さが窺い知れる。しかし自分の目前で異形の姿に変身するなど明らかに財団の秘密と関わりが深い真への対処では、危機から救われる事もあってか非情になりきれない面も見せる。

財団 編集

政財界や軍事産業などあらゆる分野で世界規模の影響力を持つ謎の組織。全世界の政治、経済、思想、文化などを全て統一し、人間の誕生から死までに関する、あらゆる経済活動を自分たちの影響下に置くことが目的である。ニューヨークに本部を持つ。下部組織であるISSを最終的には失っているが、財団自体はまだ存続し続けている。

日本支部・ISS編集

財団傘下の生物学研究所。エイズ等といった難病の遺伝子レベルでの治療を研究していた。しかし、この研究が「究極の兵士」の誕生に繋がると見込んだ財団により、軍事利用のために改造兵士開発に乗り出した。最終的には、CIAの特殊部隊の襲撃によって壊滅した。

改造兵士(サイボーグ・ソルジャー) 編集

改造兵士とは各国へ軍事力として売る事を目的に、謎の組織・財団によって造りだされた改造人間の呼称である。

詳細は改造兵士を参照

出演編集

スタッフ編集

主題歌 編集

  • 『Forever』
    作品が非常にハードな内容になったため、エンディングテーマをインストゥルメンタルにするという案もあったが、最終的に「やさしく包み込むような歌声で締めくくりたい」ということで歌を入れることになった。楽曲制作に当たっては歌手の選考を最初に行い、歌唱法も詞の内容も感情を優先する形で作られている。

映像ソフト化編集

  • ビデオ(VHS、セル・レンタル共通)とLD(セルのみ)がリリースされている。
  • DVDは2008年4月25日に発売。

コミカライズ編集

  • 別冊コロコロコミックスペシャル 1992年2月号(44号)掲載 たかや健二

その他 編集

  • 風祭真を演じた石川真(当時・石川巧久)は、後に『ウルトラマンメビウス』でハンターナイトツルギ/ウルトラマンヒカリことセリザワカズヤ元隊長を演じている。高野八誠高槻純内山眞人と並んで、「仮面ライダー」と「ウルトラマン」の日本の2大特撮ヒーロー(の変身前の人物)を演じた役者となったが、先の4者が「ウルトラマン→仮面ライダー」の流れを辿ったのに対し、石川は仮面ライダーの後にウルトラマンを演じた初めてのケースとなっている。
  • 仮面ライダーワールド』には再生怪人として、改造兵士レベル2が登場している。

脚注 編集

  1. 朝日新聞1992年2月20日朝刊
  2. スカイライダーの正式タイトルは、初代と同じ『仮面ライダー』であり、文献や放送当時の番組表では『(新)』を付けることで区別されている。

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